かつみんの好きなものブログ

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ゴールなき人生を楽しもう!『広く弱くつながって生きる』佐々木俊尚著 書評

 

こんにちは。かつみんです。

今回は佐々木俊尚著の『広く弱くつながって生きる』の書評をしていきます。

 

広く弱くつながって生きる[佐々木俊尚]

 

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著者の佐々木さんは元新聞記者で、当時は昭和的な「強いつながり」が大事とされる狭い社会でした。しかし、以後フリーに転身し、東日本大震災を経験して以降人とのつながり方を「浅く、広く、弱く」に変え、結果組織の強くてめんどくさいつながりから解放され、「きっと誰かが少しだけでも助けてくれる」という気楽な考え方に変わることができたとのこと。精神的に疲弊しやすい社会でどのように摩耗せず生きて楽しむかが書かれている本です。

 

この本は元新聞記者、フリーライターの著書ということもあって、文章の書き方、構成がまとまっておりとてもわかりやすいです。書いてある内容は深いのですが、読み手を非常に意識していて、かつ佐々木さんの朗らかな人間性がよく出ていて、読んでいて軽快で爽やかな気持ちになれます。元新聞記者ということで、難解で堅苦しく、読み手に挑戦させるような文章なのでは、と思われがちですが、全くそんなことなく、内容の深さとわかりやすさが両立している文章となっております。

なかなか内容とわかりやすさの両立は書き手にとって難しい課題でありますが、長年のライターの実力もあってそこを楽々超えているという印象です。書く力って大事だなって思いました。

 

また佐々木さんのTwitterも読んでいて心地よいものが多いです。Twitterって自己主張が多くて見るのが嫌になりがちですが、佐々木さんからはゆるくふわりとした芯のあるツイートが多いように見られます。

twitter.com

 

 

 

本の内容に入ります。

新聞記者時代、「強いつながり」の組織での仕事は、それこそ狭くて濃いつながりのため、「ここでしか言えない話」を手に入れることができ、それが仕事に繋がったとのことです。しかし、それは非常に「麻薬的」で、憑りつかれるように仕事には取り組めますが、精神的疲弊も強く、長くは続かないと思ったそうです。

また、組織は「打ち合わせがやたら多い」「儀式が好き」という無駄があり、それは「ヒエラルキーによる固定化された構造がある」と指摘しています。形式偏重は時にして効果を発揮しますが、経営コンサルティングの観点からしても、その状態は一時のみ効果があり、ある程度したらそのステージから抜け出し、新しい組織変革をしなければ停滞しがちです。昔ながらの構造は「楽」ではありますが、それは「思考停止」であり、常に変化していかなくてはなりません。変化するためには柔軟で緩やかである必要があります。その点でもこの「広く弱くつながって生きる」という方法は有効だと思います。

 

また、個人として精神摩耗から逃げる以外に、マクロ的に見ても「年功序列」や「終身雇用」がなくなり、インターネットによるつながりができるようになりました。このことからも、「強く狭いつながり」から「広く弱くつながって生きる」という時代そのものに移行しているのではないでしょうか。

 

 

そして、僕が思うこの本の最大の知見は「まれびと」という考え方にあると思います。「まれびと」とは「たまに何かをしに来て、役割を果たして去っていく。時々様子を見てまた去っていく人」のことです。「まれ」は「珍しい」という意味もありますね。

いろんなコミュニティや地域でこの「まれびと」になって、「どこにいても必要とされよう」また受け入れる側は「たまに来る人を大切にしよう」と説いています。

 

そもそも日本の神様は「何もないところにやってきて、何かいいことをして去っていく」という存在で、あいまいでゆるふわっとしています。実は日本人には深層的にそんな思想が生活の中に根付いていて、「まれびと」になるのは自然にできてしまうものだと思いました。

 

この「まれびと思想」は自分の強みを無理なく生かせて、行かなくてはならないという圧力もなく、たくさんの人に支えてもらって生きていける思想で、実に気楽で良い思想だと思います。

 

僕は「まれびと思想」を念頭に置いて生きていこうと思いました。「まれびとブロガー」としてゆるふわっと良いことをして去っていくような感じでブログやっていきます。

 

 

 

最後に、人生は「ゴールなきもの」とのこと。頂上を一気に登る「ピークハント」的な登山ではなく、周りの景色や歩くことを楽しむ「ロングトレイル」であると。何かを成し遂げることは刺激的で快感かもしれない、けどそれでは消耗してしまうから、ゆっくり歩いて人生を楽しむ心が大切であると説いています。

 

少し生きることに疲れてしまった方は、ちょっとこの本で自分の生き方を見直してみませんか?「まれびと」な世界に一歩踏み込んでみるのはいかかでしょうか。

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