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MMT(現代貨幣理論)は本当に現代を救う夢の理論なのか?建設的な問題点を考察してみた

MMT(現代貨幣理論)という経済理論が今注目を浴びている(以下、現代貨幣理論はMMTと表記する)。

 

MMTの要点を3つにまとめると、「自国通貨を発行できる国は財政破綻しない」「租税は財源確保の手段ではなく、経済の調整手段」「自国通貨は国に対して唯一の納税の手段である」にあげられる。

(詳しく知りたい人は、一番下の動画をご覧ください)

 

 

これらを踏まえると、「日本は財政破綻しないから、半無限的に財政出動できて、デフレを脱却できて賃金が上がり、社会福祉や軍事費に予算をかけられ、全ての問題が解決のではないか」と思いがちである。

もちろん半無限的な財政出動ハイパーインフレを起こすので不可能である。

しかし適度な財政出動はデフレ脱却にはうってつけの手段である。

 

しかし、MMTを適用できれば本当に国の問題が都合よく解決できるのだろうか。

MMTの問題点について考えてみた。

 

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MMTの問題点についてとしてあげられるのは 「所得格差の拡大」「インフレ過熱後の対応」「グローバル企業や富裕層の移動」の主にこの3つだ。

 

「所得格差の拡大」は財政出動によって民間にお金が貸し出されても、労働者に回るお金はごく一部で、資本家の資産がさらに増えるだけで、より格差は広まっていく、ということだ。

これはピケティ経済学の「r>g」でも示されているように、貨幣の増え方は労働生産よりも投資によるもののほうが大きい。ピケティはそのため「所得再分配が大切である」と説いている。

また、貨幣が市場に供給されていき所得格差が開いていくと、貨幣供給された分、実質賃金(賃金/物価)が下がっていく。実質賃金が下がれば、労働者層は現在よりもさらに低いレベルの生活を強いられる。物価は上がるが賃金が上がらない状態だ。労働者層は生活に必要なモノが買えず困窮することになる。つまり、都合よく財政出動し予算を組むことはインフレ過熱し生活レベルが低下し、労働者層が疲弊するのでできないことになる。

(とは言え一時期的に耐える必要が出てくることは仕方ないかもしれないが)

 

しかし(!)MMTでは「租税は財源確保の手段ではなく、経済の調整手段」としている。汚染物質の抑制ならば環境税、タバコの抑制ならばタバコ税、といった形だ。

つまり所得格差の拡大には、所得格差の抑制の手段として税金を課すことで抑制すれば良い、ということになる。このためこの所得格差の問題において、MMTの欠点はないように思われる。

となると、MMTの政策適用と累進課税の強化改革の両方を現政権が同時に行えるかどうか、ということが重要になってくる。特に累進課税の強化に対して現政権に渋さがあるため、結局そこが課題だ。つまりMMTを適用して財政出動しようが、現状維持のまま財政出動しないでいようが、政権側が富裕層や大企業に課税をかけることができるか、ということが問題になってくるので、向き合わなくてはならない問題はMMTを適用しようがしまいが変わらない、ということになる。

 

「インフレ過熱後の対応」、これもインフレ抑制のために税金を課せれば解決する。インフレしたら消費税を上げて消費を抑制しインフレを落ち着かせる。消費税を上げるのは得意な日本なので()、然るときに消費税を上げられればこれも特に問題なさそうだ。むしろ、消費が落ち込んでいるまさに今この時に消費税を上げることが何より問題である。また、目標インフレ率を達成できたら財政出動をやめ税金を上げるなど予め決めておけば、インフレ過熱対策を打つことは可能である。

 

「グローバル企業や富裕層の移動」おそらく、これが一番厄介な問題だ。累進課税を上げれば国外の税金が安い国に生産拠点や貯金や住む場所を移動し、課税を免れてしまう。 これにおいては世界全体でタックスヘイブンを許さないように監視を強化する、あるいは世界全体で足並みを揃えて租税を強化し、軽減税国をなくすことが求められる。自国の利益のために税金を軽くする国が出てくるので、それを国際的に許していかないようにしていく。 これが一番難しい課題なのではないだろうか。

結局、やらねばならない課題は現状もMMT適用後も変わらない、ということになる。

 

 というわけで、結局のところ「いかにして所得再分配を図るか」ということが重要になってくるのである。政権側は富裕層や大企業からの徴税することから逃げずにしっかり向き合って取り組まなくてはならない。

MMTを適用し財政出動し現状のデフレを脱却できたとしても、結局この「所得格差」の問題に着手しなくては根本的な解決には至らないのである。

 

 

まとめ

MMTの問題点は 「所得格差の拡大」「インフレ過熱後の対応」「グローバル企業や富裕層の移動」の3つ。

・「所得格差の拡大」「インフレ過熱後の対応」は租税を抑制の手段とすれば対策可能。

タックスヘイブンを逃さず、富裕層、大企業から確実に税金を徴収する国際的な対策を取らない限り、根本的な解決には至らないのは現状もMMT適用後も変わらない。

 

 

MMTについて深く知りたい人はこれらの動画を観ると参考になると思います↓

 

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